鈴木来人。全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOレースレポート

サマーシーズン一番のターゲットレースとして計画を組み立てていたレースだった。 XCOのコースコンディションに合わせたトレーニングを複数回、会場のコースにて行い、コース特性を抑えたトレーニングを組み立てレースに望んだ。

全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo

トレーニング計画
4月上旬にオフィシャルの試走会が開催され、レイアウト、大まかな特性を掴むことができていた。
コース前半に登り基調のパンプトラックと40秒弱の急登、ダブルキャメルのジャンプセクション等を含む第 1セクター、大きなキャンバーDH、ログドロップ等を含む 1度目のダブルフィードまでの第2セクター、5分程度の登りが続く第3セクター、上りトップからスタートフィニッシュまでの第4セクターと4つのセクターに分けコース特性とそれに合ったトレーニングを考えた。
第2セクターのDHがルーズな路面、かつログドロップセクション等を含むこと、長い登りの第3セクターにつながることを考え、第 1セクターのペースを抑えレッドゾーンギリギリで耐え続けることが重要だと考えられた。
加えてコース全体として登りセクションに細かなギミックが施されていたこと、また木の根などがかなり多く合ったこと等もありできるだけセクションの繋ぎをスムーズに速度を保ち続けるような動きが必須だった。
試走会後に昨年より練習会を行っている辻浦氏とメリダ竹内選手とポイントのすり合わせを行い、5月中旬に 1度目の練習会を行った。ここでは 1時間程度のレース想定での変化走とレース序盤のハイペースを想定したレース走を実施した。この時点では走り方も感覚も全くMTBにアジャストできておらずバイクの走らせ方から路面への対応まで含め課題が山盛りという状況だった。セッション中に自分が遅れたセクションとそこで必要な能力を考えロードメインの普段のトレーニングに取り入れていくこととした。セクションの繋ぎでの速度維持等に対応するために斜度変化のあるセグメントを使用したインターバルトレーニングをエンデュランストレーニング中に取り入れていた。
5月末の八幡浜、6月頭の石川ロードで非常にフラストレーストレーションの溜まるレースをしてしまったが、それまでのデータとその分析からトレーニングの方向性は正しいだろうと考え、6月上旬に2度目の練習会を行った。
ここではレース序盤のハイペースを想定しレッドゾーンギリギリで耐え続けるようなセッション、そこから巡航ペースを作るためのセッションをメインに行い、進捗を確認できていた。
直後の全日本ロードを走り、エンデュランス形を多く取り入れてきていたトレーニング内容を短時間高強度系のトレーニングに方向性をシフトした。
8月初旬のCJ福島ではトレーニング計画を立てる際に理想としていた後半までペースを維持し続ける形を実行できていた。ここでトレーニング計画の最終的な軌道修正を行い、3回目の練習会を行った。この時には完全にレースを想定し、ペーシングを行なった上で自分自身でセクションにごとに意図を持った変化をつけることを意識したトレーニングを行っていた。最終的なトレーニング計画に対する確認を終え、XCC3日前に最後の高強度トレーニングを入れしっかりと疲労を抜きレースへ臨んだ。
また機材については レース 1週間ほど前にチェーンを新品に交換。3日前に各部のチェックも含めセミオーバーホールを行い、各部の動きの改善と問題のないことを確認した。

全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo

XCC
スタートは3列目、 1周が800mと非常に短くコースも狭いためスタートでのポジションどりが非常に重要になってくると考えられた。可能であれば5番手以内で展開をしたいと考えていた。
ペダルキャッチ自体はうまくいき、良いスタートとなったものの8番手付近で 1コーナ ーへ侵入。
このポジションでは、登りセクションに入り口で渋滞が始まり苦しい展開となってしまった。全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo
1周目を終えた時点で戦闘パックとは10秒差程度、どうにか追いつくチャンスを探したものの高速、かつ休みどころのないコースでひたすら耐えるのみという形になってしまった。レース前半から中盤にかけては、前から落ちてきた選手を数名キャッチできたものの後方からきた選手に合わせてパックで展開はできないというかなりキツイ展開を作り出してしまっていた。とにかくできることはひたすらにもがき続けることしかできないコースだったこともあり後半は徐々に失速、2周ほど10番手パックを3人で展開したのち80%カットとなった。結果は11位。
正直得意とはいえないコース特性だったとは思うが、それ以上にここまでの取り組みで超高強度の短時間セッションを計画にあまり取り入れていないことが大きく響いたレースとなったと感じている。
またトルクがなく、大きなギアを回して推進力を作ることが苦手なために上位選手たちがある程度休みつつ展開をしているであろうセクションでも心拍が上がり続け苦しめられてしまったと考えている。
ここはロードでも課題として上がっている部分であり、改善に取り組んでいる最中ではあるが今後に向けてより一層強化をしていきたい。

全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo

XCO
スタートは2列目、気温と湿度が非常に高く直前のレースで熱中症が多発していることを踏まえ、アイスベスト、氷を仕込んだ上でアップを行い体温上昇を極力抑えることとした。コールアップ直前には水を浴び、スタート直後のハイペースには付き合いすぎず、自分のリズムを保ち続けることを再確認し、右端フェンス沿いのグリッドに入った。
1列目の選手との兼ね合いでスタートシグナルは視認できなかったため号砲の音に集中しスタートを切った。ペダルキャッチが上手くハマり良い形でと思った矢先に推進力を失い駆動系に何かしらのトラブルが発生したことがわかった。全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo
後続選手の追突防止ですぐに手を上げ、全員が過ぎ去ってから改めてチェーンが完全に切れてしまっていることを確認した。その場でレースを降りることも頭を過ったが、ひとまずランでフィードを目指すことを選択した。ただスタート直後のフィードには機材をあげておらず半周後のフィードまで走ることとなった。
全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo
その中で集団後方は渋滞が発生していたようで全く見えないと思っていた集団後方が若干視界に入る位置におり、かなり支えとなった。乗車できるDHセクションは乗車でこなし、第2フィードでチェーン交換に入った。自分で交換を行う予定で作業を開始したが、Click八幡チーム、Giantチームのメカニックの皆様が作業を手伝っていただき最短でレースに復帰することができた。ここからはできるところまで前を回収していくという思い描いていたレースとはかけ離れたものとなった。前方の選手自体は比較的すぐにキャッチし始めたものの、コースが狭く抜きどころが少ないためセクションとタイミングを測り確実にパスしていくことが求められた。2周回目に大きなパックを2つほどキャッチし20番手回復。
全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCOPhoto:© Yoshiyuki Gamo
3周目もコース前半に5人ほどのパックをキャッチし前方に見える大きなパックを回収したいと考えていた。しかし第2フィードを通り過ぎたところでシフトスイッチが効かなくなりシングルスピードになってしまった。
RDバッテリのつけ外しやコントローラースイッチの確認等を行ったが普及しなかったため、すぐに解決できる問題ではないと諦めシングルスピードで走ることとなった。コースにいくつかある急登では乗車を潔く諦めランを選択し、それ以外のセクションではできる限り速度を維持し、つなぐ走りを意識した。この周回では10番ほどポジションを上げた。30番手以内は比較的離れてしまっており100秒ほど離れた前の選手を目指した。しかし疲労もありペースを上げたかったランセクションでペースが上がらず見えるところまではギャップを詰めることができたもののキャッチすることは叶わなかった。この周回で80%カットとなった。最終順位は30位。

トラブルが起きたところで冷静になれずかなり感情的な行動をとってしまったことは大いに反省をしたい。
またフィード配置も含めトラブルの可能性の予測とリスク管理が甘かったと考えざるを得ない。加えてスタート直後の第 1フィードから第2フィードにチェーンを用意してもらうように伝えたつもりだったが上手く伝わっていなかったこと、第2フィードのスタッフに予備部品の収納場所を上手く伝えることができていなかったことなど想定が甘く必要にないストレスをスタッフにかけてしまったことも大きく反省したい。その中で最善を尽くしてくれたフィードチームとチーム員ではないにも関わらず作業を行なっていただいたClick八幡、Giantの2チームのスタッフの皆様には感謝をしても仕切れない。ここでも自分の不甲斐なさに感情的になってしまったことを反省したい。
チェーンが切れた原因については切れたチェーンの回収が行えなかったため断定が難しいがスタート直後のシフトも行なっていないタイミングだったことから何らかの大きな負荷が事前にかかっており切れたものと推測している。なおアップ直前に行なった最終チェックでは異常はなかった。
変速トラブルについても原因が特定できていないがコントローラーとRDの通信に部分でのトラブルだと考えている。ここについても検証を進めていきたい。
今回は自分のレースに対する想定やトラブル対処時の事前確認、コミュニケーション不足があったと感じる部分も大いにあった。ここについては次回に向け改善を行なっていきたい。
非常に良いコンディションでレースまで持ってくることができていた状況だっただけに悔しい思いが強い。そんな中で自分の弱さやマネジメント能力などについての弱点が露呈した部分もあったと考えている。レースに臨む上での姿勢や覚悟も含め今一度考え直し改善を図っていきたい。
来年またこの全日本選手権にさらに強くなって戻ってくることができるように努力を重ねていきたい。

最後になりましたがサポートをしていただいているスポンサー様、サプライヤー様、サポーターの皆様に感謝を申し上げます。
次戦に向けて引き続きトレーニングに励んでいきます。

引き続きよろしくお願い致します。

20260719-20
全日本選手権マウンテンバイクXCC/XCO
Cat:M-E
Result:
XCC:11th(-3Laps)・XCO:30th(-2laps)

使用機材
Bike:Bottechia GARDENA 29
Suspension Fork:SR SUNTOUR AXON WARX 34 70psi
Stem:OnebyESU スージーステム 70mm
Whee(Tire)l:Do Corsa NOVE(GoodYearBike Peak SL 2.40,GoodYearBike Peak SL 2.40)
Chain:PYC Chain P1201
Helmet:BBB Cycling マエストロ
EyeWear:Evil Eye
Wear:WAVEONE スピードワンピース(半袖)
Shoes:SIDI Tiger2
Gel:MAG ON
UpOil:Igname Sport Aroma Summer
Off Shoes:Vivobarefoot
FeedSupport:AX MTB Team

 

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